ニュージーランド - ルートバーン & グリーンストーントラック [登山・クライミング]
グレートウォークとして名高いルートバーントラック、それに接続しているグリーンストーントラックを組み合わせて3泊4日のトレッキングをしてきました。(12/16~12/19)
ルートバーンシェルター → マッケンジー小屋(泊)→ ハウデン小屋 → マッケラー小屋(泊)→ グリーンストーン小屋 → グリーンストーン駐車場
ルートはこんな感じ。
一日ごとに色分けしています。
ルートバーントラックはニュージランド政府が「グレートウォーク」と認定した美しい9つのトレッキングルートのうちの一つ。中でも「ミルフォードトラック」、「ケイプルストラック」そして今回の「ルートバーントラック」は特に有名だそうです。
また、グリーンストーントラックはルートバーントラックの終点近くから接続しており、周回ルートとして使う事が出来ます。
準備
今回は色々と準備が必要でした。予約が必要な事項が多いからです。
最初に日程を決めました。ルートバーントラックは通常2泊3日で歩くのですが、山小屋代が他のトラックにあるものに比べて高額なので、1泊2日で歩く事にしました。2日目、3日目にはグリーンストーントラック上の小屋に宿泊します。
次に山小屋の予約です。ルートバーントラック上にある山小屋は予約が必須です。DOCという政府の管理機関のホームページで予約して、そのDOCの案内所でチケットを受け取ります。そのときに同時にグリーンストーントラック上の小屋で宿泊するのに必要なハットパス(チケット)を受け取ります。グリーンストーントラック上の小屋は予約は必要ありませんがこのハットパスが必要です。また、この案内所にてルートの情報を仕入れたり色々聞くことが出来ます。地図なども販売しています。
ルートバーントラックの小屋はこの夏季シーズンは非常に混雑しており、特にクリスマス以降はほとんど予約がいっぱいになっていました。天候を見て決めれないのは不便ですね。
次に交通機関の手配をします。ニュージーランド全体にもいえることですが、公共の交通機関はあまり発達していません。旅行会社のバスを使う事になります。公共じゃないのでこれも結構高いのです。拠点のクイーンズタウンからは「Info&Track」という会社がルートバーンやグリーンストーントラックなどへのバスを運行しています。
一日目
クイーンズタウン → ルートバーンシェルター(登山口) →(02h00m)→ルートバーンフラッツ小屋 →(01h00m)→ ルートバーンフォールズ小屋 →(01h30m)→ ハリス峠(最高点) →(02h45m)→ マッケンジー湖小屋(泊)
さてさて、ここまでしてやっと山へ入る事が出来ます。この日の朝はシトシト雨、午後から晴れてくるという天気予報を信じて出発です。
登山口へのアクセスはグレノーキーと言うクイーンズタウンから北に40分くらい、ワカティプ湖の北端に位置する町の近くにあります。バスはグレノーキーで少し休憩を挟んで登山口に向かいます。クイーンズタウンを朝8時に出て10時くらいには到着です。
登山口であるルートバーンシェルター
シェルターというには少々立派過ぎです。
序盤は美しい原生林の中を歩きます。時折つり橋を渡りながら進みます。あまり高度は上がっていきません。
雨にぬれた苔が綺麗です。
渓谷をわたるつり橋の上から。
ルートバーン平が見えると最初の山小屋「ルートバーンフラッツ小屋」はすぐそこです。
ルートバーン平
ルートバーンフラッツハットを過ぎるとぐんぐん高度を上げていきます。そこから約一時間で次の「ルートバーンフォールズ小屋」に到着します。
ここに着く頃にはすでに雲の中。小屋の天気予報は期待空しく夕方までは雨だと書いてありました。天気がずれ込んでいます。
「ルートバーンフォールズ小屋」
ほとんどのトレッカーはここで一泊します。ここで一泊しないと、今日は7~10時間のコースになります。登山口に着くのがAM10時なので、きびしいと思いがちですが、ニュージランドの夏は日が長いのです。9時ごろまではなんとか明るいのです。しかし、この日は次の日の天気に賭けてここで一泊するのが正解だったなと思ってなかなか休憩から抜け出せませんでした。だってここから次の小屋までがこのトレイルのメインだから。。
・・・とはいっても予約したものは変えられないので先に進みます。
ルートバーンフォールズ小屋から少し登ると、大きな滝が見えました。ルートバーン滝です。一つ一つの落差は小さいですが、あちらこちらで水が落ち全体で大きな滝を形成していました。
ルートバーン滝。とてもカメラに全て収められません。
滝以降は森林限界を超えたのか、視界が開けてきます。雨も少し降ったり止んだりになってきて、ガスの切れ間から幻想的な世界が見えます。雨が沢山の小さな滝を作っています。
今、晴れてくれ!と願いながら登っていくと眼下に大きな池が見えてきます。未だ雪が残る山々に囲まれたそれはハリス湖です。
ハリス湖。ルートバーントラックのハイライトです。
湖の淵を進み、それを抜けるとすぐにハリス峠に着きます。ハリス峠はアスピリン国立公園からフィヨルドランド国立公園への境界でもあります。
ハリス峠。シェルターがあり、その向こうにはフィヨルドランドの山々が見えています。また、右に見えているピークはコニカル・ヒル
ここからコニカル・ヒルへ往復出来るのだが、まだ雪の状態が悪くクローズ。
シェルターと背後にコニカル・ヒル
ハリス峠を越えるとしばらくだらだらとトラバース道。西側にはフィヨルドランドの山々が峰を連ねていました。山頂は雲に覆われて殆ど見えないものの、雪や氷河のついた山もあるようでした。無数の滝を山肌に見る事が出来、高さの見えない山と相まって、それがまた幻想的でした。
ずいぶん天気が回復してきました。霧雨の中、右手にそれらを見つつしばらく進みます。
フィヨルドランドの山々を見ながら進む。
久々の長時間歩行で疲れてきた頃、突然眼下に美しい湖が現れます。その端には山小屋も見えます。目指すマッケンジー湖とマッケンジー湖小屋です。
マッケンジー湖と小屋(右奥)
湖の向こう側の岩が迫力です。
ここからずんずんと下り、森の中へ。さらに下って湖畔にたどり着きます。標高が下がったのもありますが、晴れ間があります。湖で沢山のトレッカーがくつろいでいました。マッケンジー湖小屋へ到着です。
過酷な山の中から平和な下界へ降りてきた気分
KAZUが到着したのは恐らく本日最後でした。予約制だけあって一人シングルベッド一つ分のスペースは確保されています。どのベッドを使うかは先着順なので、早く着けばドミトリーのような二段ベッドも使う事が出来るようです。
人は多かったですが世界各国から集うトレッカーたちは皆フレンドリーで優しく、話も弾み、山旅の良さを改めて実感しました。
二日目
マッケンジー湖小屋 →(1h50m)→ イアーランド滝 →(0h50m)→ ハウデン湖小屋(分岐点)→→(0h50m)→ ケイプルス分岐 →(0h50m)→ マッケラー小屋(泊)
朝から天気は上々。振り返ると山頂はまだガスっていましたが、もう関係ありません。この日はルートバーントラック終点近くのハウデン小屋からグリーンストーントラックに入ります。
朝のマッケンジー湖
マッケンジー湖小屋を出発
昨日すでに森林限界より下がったので朝から原生林の中を歩きます。道は狭い上に昨日の雨でぐちょぐちょです。靴は昨晩は完全に乾かすことができなかったのでもうあきらめて歩きました。あまり標高を下げない道がしばらく続きます。
ところどころに小さな滝ができています。
昨日はあの上にいたのです。まだ雲がかかっていて一日ずらしていたら良かったのかは微妙でした。
だんだん視界が開けてきました。これから行く先や機能は下の方しか見えなかったフィヨルドランドの山々がはっきり見えます。今回に限ってはフィヨルドランドの方が天気が良いみたいです。
フィヨルドランドの峰々を望む。
眼下にはホリフォード谷が見えます。
遠くから見えていた大きな滝はイアーランド滝。高低差がかなりある大きな滝です。昨日の雨もあり滝がルートのすぐそばまで来ていました。水しぶきの中を抜けました。
小さな川にも丈夫な橋が架かっていて安心です。
滝を越えたあたりから徐々に下り始め、ずんどこ歩いているうちに下界に戻ってきた感じがしました。ルートバーントラック終点のデバイドに近いハウデン湖小屋に到着です。ここで昼食休憩としました。サンドフライ(アブみたいな害虫。刺されると超かゆい。)が多く、のんびり昼寝とはいきませんでした。
ハウデン湖小屋に反対側からやってきたグループツアーのトレッカーたちが休んでいます。
小屋そばのハウデン湖。
ガイドからちょちょっと情報をもらって出発。ルートバーントラックはここまで。ここから先はグリーンストーントラックに入ります。このトラックはグリーンストーン谷をひたすら歩くのどかなルートです。高低差もあまりなくらくちんなルートですが、ルートバーントラックに比べるとマイナールートなので整備状況は落ちるそうです。
今日はあと少し。湖沿いの道が終わり、だだっ広いキャンプ地を超えしばらくすると、ケイプルストラックとの分岐につきました。
分岐付近から。マッケラー湖とマッケラー峠を見る。
そのままグリーンストーントラックを直進。マッケラー湖が見え始め、湖沿いの森の中を歩きます。天気も良くて快適です。フィヨルドランド国立公園はここまで。の看板を見たらまもなくマッケラー小屋に到着しました。
マッケラー小屋
ドミ部屋がふた部屋とダイニングがあります。一番奥には管理人専用の部屋があります。
新しい小屋で規模が小さい事とガスコンロがない事を除くとルートバーン上の小屋と大差ありません。
川の近くに建つマッケラー小屋にはオークランドから来たまだ一組の母娘しかいませんでした。話をした後、ぬれた靴や何やらを干しました。そのお母さんに教わったのですが、こっちの人はザックカバーよりもザックライナー(だったかな?)と呼ばれるものを雨対策としているようです。ザックライナーとはようするに丈夫で大きなゴミ袋で、それをザックの中に入れてから荷物を詰める事でザックはぬれても中身は大丈夫という考え方のものです。
確かにザックカバーでは中のものは濡れずともシケシケになってしまいます。あまっているからと一つもらいました。今度試してみます。
それにしても小屋の外はサンドフライだらけで外でのんびりできなかったのは残念でした。
徐々に人が増え、全部で9人になりました。12人部屋と8人部屋のふた部屋しかなかったのですが、ルートバーントラックを外れただけでこんなに人が減るとは思いもよりませんでした。一応管理人さんがいて、チケットのチェックをされました。
静かに眠りにつきました。
三日目
ハウデン小屋 →(04h50m)→ スティールクリークトラック分岐 →(02h00m)→ グリーンストーン小屋
美しいグリーンストーン谷。 三日目後半にて
この日はグリーンストーントラックのメイン。ひたすらグリーンストーン谷を歩きました。高低差もほとんどなく、実に平和なトラックです。天気も良く、快適です。眺めの良い谷をあるいたり、川幅が広いところでは森の中を歩いたり、この日は距離が長いです。
だだっ広い草原の谷を歩く。
湿地になっているところもあり、綺麗なのは良いがまた靴が濡れる。
森の中では人懐っこい鳥に出会ったりする。餌はやらないように。
道しるべを見逃さないように歩きます。
スティールクリークトラック分岐を超えつり橋を渡ると、途中で大きな山小屋がありました。少し早すぎると思ったらグループツアー専用のロッジでした。
グリーンストーン小屋への分岐を見つけて右に折れるとすぐに渓谷が。グリーンストーン川は急に細くなったのでしょうか。
分岐からは10分程度で小屋に到着
右はスタッフ小屋。太陽電池や湯沸かし器もついていて快適そうです。
グリーンストーン小屋も新しくきれいな山小屋でした。この日は僕の他にはドイツ人の二人組みしかいませんでした。有名なルート以外はどうしてこうも空いていることでしょう。
小屋からの眺めが良いです。
が、夕方からまたしてもにっくきサンドフライが登場します。
小屋のドミ部屋。マットレスも準備してあり、持ってきた寝袋をしくだけです。普通のベッドみたいです。町のドミトリーより快適ですね。
混んでいる時の日本の小屋と違ってマットレス一つぶんの広いスペースを必ず確保できるので快適です。めちゃくちゃ混んだらどうなるのか心配ですが、そういう小屋はルートバーンのように予約制にするのでしょうね。
ダイニングの調理スペース。
ルートバーン上の小屋と違ってガスコンロは持参する必要があります。
この日は高低差は少ないものの、距離が長くちょっと飽きました。でも、のんびりとした綺麗な谷を見つつ良い一日でした。
四日目
グリーンストーン小屋 →(04h00m)→ グリーンストーン駐車場 → クイーンズタウン(グレノーキー経由)
この日は帰りのバスに合わせて駐車場に向かうのみです。
昨日に比べて谷が狭くなりました。
入り組んでいるところではちょっとした滝を見ることができます。
凸凹感が感じの良いちょっとした草原を歩く。
途中川の水が多すぎて渡りにくいところがありました。ドボンするリスクを犯せば渡れないことはないのですが、少し遠回りしたところに洪水時用の橋が架かっていました。
視界が開けてくるともう少し。ここは農場なのかたくさんの糞が落ちていた。ツアートレッキング客とすれ違う。
最後のつり橋を渡るとケイプルストラックとの分岐点
羊の大移動を見ることができた。つり橋を渡ってます。たまに川に落っこちるやつもいてハラハラ。
羊用に設けられた道を人にびくつきながら走る羊たち。たまに柵から出ちゃったりします。それを追っかけまわす人は大変そう。
僕を見て様子を伺っています。かわいいですね。
駐車場で予約してあったバスに乗り、一路クイーンズタウンへ。ケプラートラックから来た人も数人一緒に乗りました。
バスからの眺め。あの奥にいたんだ・・・と。
帰りのバスはグレノーキーで2時間もの休憩。。
あまりにも暇なので「グレノーキーウォークウェイ」というちょっとしたウォーキングルートを歩いてきました。これも綺麗な景色がいっぱいでした。その写真をすこし。
ダート川越しにルートバーン方面の山々を望む。
湿地帯の上には木道が設けてあります。
湿地帯の向こうに山々を望む。
やっと来たクイーンズタウン行きのバス。
登山口に向かうバスはマイクロバス。公共のバスがないのは予約制だしちょっと不便。。
総括
久しぶりの山旅でした。今回の最もすばらしい景色が見えるはずだったルートバーントラックは残念ながら雨でした。それでも視界0ではなく、山の山頂が隠れてとても大きな山に見えました。美しい湖も見ることができました。雨の為かあちこちに滝が発生し、幻想的でもありました。
天気は不安視していたのですが山小屋が予約制だとあせってしまいますね。今回は他の日が予約いっぱいでノーチョイスだったので仕方ないです。
2日目以降は天気は好転し、地面がぐちょぐちょになっている以外はとても快適でした。フィヨルドランドの山々も拝め、美しいグリーンストーン谷ものんびり歩くことができました。山小屋もすばらしいほど快適で、普段の生活よりたくさんの人としゃべることができて楽しかったです。
あとは世界旅行兼トレッキングで活躍してきたハイキングシューズ「メレル カメレオン」に限界を感じました。踵はすれて穴が開き、ゴアテックスも効かず少し水溜りを踏んでしまっただけでもう靴下が濡れてしまいます。いい加減換え時かなと感じました。
費用(クイーンズタウンからの値段)
バス(クイーンズタウン⇒ルートバーンシェルター登山口):45$
マッケンジーハット:$51.1 要予約
マッケラーハット:$15
グリーンストーンハット:$15
バス(グリーンストーン駐車場(下山口)⇒クイーンズタウン):$50
ルートバーンシェルター → マッケンジー小屋(泊)→ ハウデン小屋 → マッケラー小屋(泊)→ グリーンストーン小屋 → グリーンストーン駐車場
ルートはこんな感じ。
一日ごとに色分けしています。
ルートバーントラックはニュージランド政府が「グレートウォーク」と認定した美しい9つのトレッキングルートのうちの一つ。中でも「ミルフォードトラック」、「ケイプルストラック」そして今回の「ルートバーントラック」は特に有名だそうです。
また、グリーンストーントラックはルートバーントラックの終点近くから接続しており、周回ルートとして使う事が出来ます。
準備
今回は色々と準備が必要でした。予約が必要な事項が多いからです。
最初に日程を決めました。ルートバーントラックは通常2泊3日で歩くのですが、山小屋代が他のトラックにあるものに比べて高額なので、1泊2日で歩く事にしました。2日目、3日目にはグリーンストーントラック上の小屋に宿泊します。
次に山小屋の予約です。ルートバーントラック上にある山小屋は予約が必須です。DOCという政府の管理機関のホームページで予約して、そのDOCの案内所でチケットを受け取ります。そのときに同時にグリーンストーントラック上の小屋で宿泊するのに必要なハットパス(チケット)を受け取ります。グリーンストーントラック上の小屋は予約は必要ありませんがこのハットパスが必要です。また、この案内所にてルートの情報を仕入れたり色々聞くことが出来ます。地図なども販売しています。
ルートバーントラックの小屋はこの夏季シーズンは非常に混雑しており、特にクリスマス以降はほとんど予約がいっぱいになっていました。天候を見て決めれないのは不便ですね。
次に交通機関の手配をします。ニュージーランド全体にもいえることですが、公共の交通機関はあまり発達していません。旅行会社のバスを使う事になります。公共じゃないのでこれも結構高いのです。拠点のクイーンズタウンからは「Info&Track」という会社がルートバーンやグリーンストーントラックなどへのバスを運行しています。
一日目
クイーンズタウン → ルートバーンシェルター(登山口) →(02h00m)→ルートバーンフラッツ小屋 →(01h00m)→ ルートバーンフォールズ小屋 →(01h30m)→ ハリス峠(最高点) →(02h45m)→ マッケンジー湖小屋(泊)
さてさて、ここまでしてやっと山へ入る事が出来ます。この日の朝はシトシト雨、午後から晴れてくるという天気予報を信じて出発です。
登山口へのアクセスはグレノーキーと言うクイーンズタウンから北に40分くらい、ワカティプ湖の北端に位置する町の近くにあります。バスはグレノーキーで少し休憩を挟んで登山口に向かいます。クイーンズタウンを朝8時に出て10時くらいには到着です。
登山口であるルートバーンシェルター
シェルターというには少々立派過ぎです。
序盤は美しい原生林の中を歩きます。時折つり橋を渡りながら進みます。あまり高度は上がっていきません。
雨にぬれた苔が綺麗です。
渓谷をわたるつり橋の上から。
ルートバーン平が見えると最初の山小屋「ルートバーンフラッツ小屋」はすぐそこです。
ルートバーン平
ルートバーンフラッツハットを過ぎるとぐんぐん高度を上げていきます。そこから約一時間で次の「ルートバーンフォールズ小屋」に到着します。
ここに着く頃にはすでに雲の中。小屋の天気予報は期待空しく夕方までは雨だと書いてありました。天気がずれ込んでいます。
「ルートバーンフォールズ小屋」
ほとんどのトレッカーはここで一泊します。ここで一泊しないと、今日は7~10時間のコースになります。登山口に着くのがAM10時なので、きびしいと思いがちですが、ニュージランドの夏は日が長いのです。9時ごろまではなんとか明るいのです。しかし、この日は次の日の天気に賭けてここで一泊するのが正解だったなと思ってなかなか休憩から抜け出せませんでした。だってここから次の小屋までがこのトレイルのメインだから。。
・・・とはいっても予約したものは変えられないので先に進みます。
ルートバーンフォールズ小屋から少し登ると、大きな滝が見えました。ルートバーン滝です。一つ一つの落差は小さいですが、あちらこちらで水が落ち全体で大きな滝を形成していました。
ルートバーン滝。とてもカメラに全て収められません。
滝以降は森林限界を超えたのか、視界が開けてきます。雨も少し降ったり止んだりになってきて、ガスの切れ間から幻想的な世界が見えます。雨が沢山の小さな滝を作っています。
今、晴れてくれ!と願いながら登っていくと眼下に大きな池が見えてきます。未だ雪が残る山々に囲まれたそれはハリス湖です。
ハリス湖。ルートバーントラックのハイライトです。
湖の淵を進み、それを抜けるとすぐにハリス峠に着きます。ハリス峠はアスピリン国立公園からフィヨルドランド国立公園への境界でもあります。
ハリス峠。シェルターがあり、その向こうにはフィヨルドランドの山々が見えています。また、右に見えているピークはコニカル・ヒル
ここからコニカル・ヒルへ往復出来るのだが、まだ雪の状態が悪くクローズ。
シェルターと背後にコニカル・ヒル
ハリス峠を越えるとしばらくだらだらとトラバース道。西側にはフィヨルドランドの山々が峰を連ねていました。山頂は雲に覆われて殆ど見えないものの、雪や氷河のついた山もあるようでした。無数の滝を山肌に見る事が出来、高さの見えない山と相まって、それがまた幻想的でした。
ずいぶん天気が回復してきました。霧雨の中、右手にそれらを見つつしばらく進みます。
フィヨルドランドの山々を見ながら進む。
久々の長時間歩行で疲れてきた頃、突然眼下に美しい湖が現れます。その端には山小屋も見えます。目指すマッケンジー湖とマッケンジー湖小屋です。
マッケンジー湖と小屋(右奥)
湖の向こう側の岩が迫力です。
ここからずんずんと下り、森の中へ。さらに下って湖畔にたどり着きます。標高が下がったのもありますが、晴れ間があります。湖で沢山のトレッカーがくつろいでいました。マッケンジー湖小屋へ到着です。
過酷な山の中から平和な下界へ降りてきた気分
KAZUが到着したのは恐らく本日最後でした。予約制だけあって一人シングルベッド一つ分のスペースは確保されています。どのベッドを使うかは先着順なので、早く着けばドミトリーのような二段ベッドも使う事が出来るようです。
人は多かったですが世界各国から集うトレッカーたちは皆フレンドリーで優しく、話も弾み、山旅の良さを改めて実感しました。
二日目
マッケンジー湖小屋 →(1h50m)→ イアーランド滝 →(0h50m)→ ハウデン湖小屋(分岐点)→→(0h50m)→ ケイプルス分岐 →(0h50m)→ マッケラー小屋(泊)
朝から天気は上々。振り返ると山頂はまだガスっていましたが、もう関係ありません。この日はルートバーントラック終点近くのハウデン小屋からグリーンストーントラックに入ります。
朝のマッケンジー湖
マッケンジー湖小屋を出発
昨日すでに森林限界より下がったので朝から原生林の中を歩きます。道は狭い上に昨日の雨でぐちょぐちょです。靴は昨晩は完全に乾かすことができなかったのでもうあきらめて歩きました。あまり標高を下げない道がしばらく続きます。
ところどころに小さな滝ができています。
昨日はあの上にいたのです。まだ雲がかかっていて一日ずらしていたら良かったのかは微妙でした。
だんだん視界が開けてきました。これから行く先や機能は下の方しか見えなかったフィヨルドランドの山々がはっきり見えます。今回に限ってはフィヨルドランドの方が天気が良いみたいです。
フィヨルドランドの峰々を望む。
眼下にはホリフォード谷が見えます。
遠くから見えていた大きな滝はイアーランド滝。高低差がかなりある大きな滝です。昨日の雨もあり滝がルートのすぐそばまで来ていました。水しぶきの中を抜けました。
小さな川にも丈夫な橋が架かっていて安心です。
滝を越えたあたりから徐々に下り始め、ずんどこ歩いているうちに下界に戻ってきた感じがしました。ルートバーントラック終点のデバイドに近いハウデン湖小屋に到着です。ここで昼食休憩としました。サンドフライ(アブみたいな害虫。刺されると超かゆい。)が多く、のんびり昼寝とはいきませんでした。
ハウデン湖小屋に反対側からやってきたグループツアーのトレッカーたちが休んでいます。
小屋そばのハウデン湖。
ガイドからちょちょっと情報をもらって出発。ルートバーントラックはここまで。ここから先はグリーンストーントラックに入ります。このトラックはグリーンストーン谷をひたすら歩くのどかなルートです。高低差もあまりなくらくちんなルートですが、ルートバーントラックに比べるとマイナールートなので整備状況は落ちるそうです。
今日はあと少し。湖沿いの道が終わり、だだっ広いキャンプ地を超えしばらくすると、ケイプルストラックとの分岐につきました。
分岐付近から。マッケラー湖とマッケラー峠を見る。
そのままグリーンストーントラックを直進。マッケラー湖が見え始め、湖沿いの森の中を歩きます。天気も良くて快適です。フィヨルドランド国立公園はここまで。の看板を見たらまもなくマッケラー小屋に到着しました。
マッケラー小屋
ドミ部屋がふた部屋とダイニングがあります。一番奥には管理人専用の部屋があります。
新しい小屋で規模が小さい事とガスコンロがない事を除くとルートバーン上の小屋と大差ありません。
川の近くに建つマッケラー小屋にはオークランドから来たまだ一組の母娘しかいませんでした。話をした後、ぬれた靴や何やらを干しました。そのお母さんに教わったのですが、こっちの人はザックカバーよりもザックライナー(だったかな?)と呼ばれるものを雨対策としているようです。ザックライナーとはようするに丈夫で大きなゴミ袋で、それをザックの中に入れてから荷物を詰める事でザックはぬれても中身は大丈夫という考え方のものです。
確かにザックカバーでは中のものは濡れずともシケシケになってしまいます。あまっているからと一つもらいました。今度試してみます。
それにしても小屋の外はサンドフライだらけで外でのんびりできなかったのは残念でした。
徐々に人が増え、全部で9人になりました。12人部屋と8人部屋のふた部屋しかなかったのですが、ルートバーントラックを外れただけでこんなに人が減るとは思いもよりませんでした。一応管理人さんがいて、チケットのチェックをされました。
静かに眠りにつきました。
三日目
ハウデン小屋 →(04h50m)→ スティールクリークトラック分岐 →(02h00m)→ グリーンストーン小屋
美しいグリーンストーン谷。 三日目後半にて
この日はグリーンストーントラックのメイン。ひたすらグリーンストーン谷を歩きました。高低差もほとんどなく、実に平和なトラックです。天気も良く、快適です。眺めの良い谷をあるいたり、川幅が広いところでは森の中を歩いたり、この日は距離が長いです。
だだっ広い草原の谷を歩く。
湿地になっているところもあり、綺麗なのは良いがまた靴が濡れる。
森の中では人懐っこい鳥に出会ったりする。餌はやらないように。
道しるべを見逃さないように歩きます。
スティールクリークトラック分岐を超えつり橋を渡ると、途中で大きな山小屋がありました。少し早すぎると思ったらグループツアー専用のロッジでした。
グリーンストーン小屋への分岐を見つけて右に折れるとすぐに渓谷が。グリーンストーン川は急に細くなったのでしょうか。
分岐からは10分程度で小屋に到着
右はスタッフ小屋。太陽電池や湯沸かし器もついていて快適そうです。
グリーンストーン小屋も新しくきれいな山小屋でした。この日は僕の他にはドイツ人の二人組みしかいませんでした。有名なルート以外はどうしてこうも空いていることでしょう。
小屋からの眺めが良いです。
が、夕方からまたしてもにっくきサンドフライが登場します。
小屋のドミ部屋。マットレスも準備してあり、持ってきた寝袋をしくだけです。普通のベッドみたいです。町のドミトリーより快適ですね。
混んでいる時の日本の小屋と違ってマットレス一つぶんの広いスペースを必ず確保できるので快適です。めちゃくちゃ混んだらどうなるのか心配ですが、そういう小屋はルートバーンのように予約制にするのでしょうね。
ダイニングの調理スペース。
ルートバーン上の小屋と違ってガスコンロは持参する必要があります。
この日は高低差は少ないものの、距離が長くちょっと飽きました。でも、のんびりとした綺麗な谷を見つつ良い一日でした。
四日目
グリーンストーン小屋 →(04h00m)→ グリーンストーン駐車場 → クイーンズタウン(グレノーキー経由)
この日は帰りのバスに合わせて駐車場に向かうのみです。
昨日に比べて谷が狭くなりました。
入り組んでいるところではちょっとした滝を見ることができます。
凸凹感が感じの良いちょっとした草原を歩く。
途中川の水が多すぎて渡りにくいところがありました。ドボンするリスクを犯せば渡れないことはないのですが、少し遠回りしたところに洪水時用の橋が架かっていました。
視界が開けてくるともう少し。ここは農場なのかたくさんの糞が落ちていた。ツアートレッキング客とすれ違う。
最後のつり橋を渡るとケイプルストラックとの分岐点
羊の大移動を見ることができた。つり橋を渡ってます。たまに川に落っこちるやつもいてハラハラ。
羊用に設けられた道を人にびくつきながら走る羊たち。たまに柵から出ちゃったりします。それを追っかけまわす人は大変そう。
僕を見て様子を伺っています。かわいいですね。
駐車場で予約してあったバスに乗り、一路クイーンズタウンへ。ケプラートラックから来た人も数人一緒に乗りました。
バスからの眺め。あの奥にいたんだ・・・と。
帰りのバスはグレノーキーで2時間もの休憩。。
あまりにも暇なので「グレノーキーウォークウェイ」というちょっとしたウォーキングルートを歩いてきました。これも綺麗な景色がいっぱいでした。その写真をすこし。
ダート川越しにルートバーン方面の山々を望む。
湿地帯の上には木道が設けてあります。
湿地帯の向こうに山々を望む。
やっと来たクイーンズタウン行きのバス。
登山口に向かうバスはマイクロバス。公共のバスがないのは予約制だしちょっと不便。。
総括
久しぶりの山旅でした。今回の最もすばらしい景色が見えるはずだったルートバーントラックは残念ながら雨でした。それでも視界0ではなく、山の山頂が隠れてとても大きな山に見えました。美しい湖も見ることができました。雨の為かあちこちに滝が発生し、幻想的でもありました。
天気は不安視していたのですが山小屋が予約制だとあせってしまいますね。今回は他の日が予約いっぱいでノーチョイスだったので仕方ないです。
2日目以降は天気は好転し、地面がぐちょぐちょになっている以外はとても快適でした。フィヨルドランドの山々も拝め、美しいグリーンストーン谷ものんびり歩くことができました。山小屋もすばらしいほど快適で、普段の生活よりたくさんの人としゃべることができて楽しかったです。
あとは世界旅行兼トレッキングで活躍してきたハイキングシューズ「メレル カメレオン」に限界を感じました。踵はすれて穴が開き、ゴアテックスも効かず少し水溜りを踏んでしまっただけでもう靴下が濡れてしまいます。いい加減換え時かなと感じました。
費用(クイーンズタウンからの値段)
バス(クイーンズタウン⇒ルートバーンシェルター登山口):45$
マッケンジーハット:$51.1 要予約
マッケラーハット:$15
グリーンストーンハット:$15
バス(グリーンストーン駐車場(下山口)⇒クイーンズタウン):$50
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